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2、和田海斗
入学式を終えて教室に入り、怖そうな先生の自己紹介と、この中学校の基本的な決まりを聞いた後、クラスを六つの班に分けて学校探検をする事になった。簡単な校内図を渡されて各教室の前にあるスタンプを集めるというものだ。
中学一年生にやらせる企画としては少し幼い気がしたが、毎年の恒例のようだった。
「ココナシ、適当にやって早く帰ってこようぜ」
加藤は面倒そうに校内図をひらひらやった。
「そうだね」
僕だけではなく、他の班員も同意という感じで頷いた。
入学式に向けてワックスがけをしたであろう、木製の正方形のタイルが市松模様に並んだ廊下から、ほんのり木の優しい匂いがしている。どこかのクラスからぼんやり聞こえる先生の声を聞きながら、僕たちは学校を歩いた。
職員室、食堂、美術室、印刷室、図書室、家庭科室と順調に周り、最後に一階の端のある理科室にやってきた。
加藤はすぐに理科室に入り、教室説明の紙も読まずスタンプを押し、クラスに戻ろうとしている。
僕が遅れて入ると、理科室の後ろに水槽を見つけた。僕はなんとなく水槽が気になった。
「加藤、先教室戻ってて。すぐ行くから」
「おーう、行ってるわ」
班員も加藤について行き、理科室には僕だけになった。
何かの薬品のにおいが漂うその空間に、エアレーションの音だけが響いていた。理科室の後ろまで行き水槽を覗き込むと、そこには赤く毒々しい腹をした黒いトカゲのような生き物が水中でじっとしていた。
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