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生放送
「皆さんこんばんは! 今日もまーゆしチャンネルにようこそおいでくださいました!
楽しい放送をお届けしたいと思います!
1コメゲットはなんと放送30分前に来てくれたしんまるさんですね、いつもありがとうございます! チャット欄にはしんまるさん、紅さん、Asamiさん、ヨツバさん……来てくれてありがとう!」
ブギーでかわいらしいジングルを流し恒例の挨拶を済ませて、僕はもう一度息を吸った。カメラに向かって、黒いマスクの顔で微笑む。毎週金曜日の、ネット生放送。視聴者20人程度のこじんまりとしたチャンネルだが、アーカイブの再生回数は少しずつ伸びてきている。パソコン画面には僕の姿が映っていて、チャット欄では挨拶を返してくれる視聴者のコメントが並んだ。
「今日の放送は『不思議と恐怖のお便り』企画です! この企画は、実話でも作り話でも不思議体験や恐怖体験を皆から募集して、届いたお便りについてみんなで語り合おうという企画です。先月募集してなんと12通のお便りが届きました! これ全部を2時間で読むのは難しいので、3通か4通ずつ、何回かに分けて不定期に放送していきたいと思います! 今日はこの3通を読んでいきたいと思います」
カメラの前にそれぞれ、小ぶりな封筒、小悪魔なキャラクターシールでデコられたかわいい封筒、よく見かけるような茶封筒の三つを見せる。住所などは黒く塗りつぶして消してあるので視聴者も安心できるだろう。僕はそのままパソコンを操作し、BGMを静かで、無機質なところのあるものに変える。
「1通目。『小鬼のいる家』」
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