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 これは私の体験談です。私は子供のころからいわゆる霊感が強くいろんなものを見てきました。今回は友人の家で見た、不思議なもののことを書きました。  その友人とは半年ぶりの再会でした。スレンダーな美人だった彼女は見る影もないくらい太り、肌は荒れてくすみ、とても不健康そうに様変わりしていました。その彼女から、相談事を切り出されました。それは彼女の、あまりに変わった様子のことでした。 「引っ越してから私、変なのよ。どれだけ食べてもお腹が減るし、家のものがやたら腐るの。おまけに、何か小さな足音とかも聞こえることがあるし、眠れないし、寝たと思ったら寝てる間に何か食べてるみたいで。病院で精密検査受けたけど異常はないっていうのよ。あなた、昔からそういうものが見えるって言ってたじゃない、お金も払うから助けて……」 私はプロではないのでどうなるかわからないと言ったうえで、彼女の家に行きました。  安アパートの彼女の部屋は、入る前から甘臭い、腐ったようなにおいが漂っています。彼女にドアを開けてもらいました。そこはまさしく、ゴミ屋敷というにふさわしい有様でした。 辛うじて足の踏み場はあるものの、天井以外はゴミが目に映る、といった様子です。「何故かゴミ出しを忘れてしまって」というのが彼女の弁ですが、彼女はもともと潔癖な方で、前の家はとてもきれいにしていました。部屋の中に入っていって更に奇妙なことに気付きます。これだけ汚れていたら虫の一匹や二匹いそうなものですが、全く見当たらないのです。カーテンを閉め切られた部屋の中は静かで、それがさらに気持ち悪く思いました。そして、冷蔵庫が異様な雰囲気を放っています。 「この冷蔵庫どうしたの?」 「中古屋さんで、かわいいから買ったの」 たしかに、赤いレトロデザインの冷蔵庫はかわいいです。薄暗い部屋の中、それだけが鮮やかに見えました。開ける許可を取って、冷蔵庫を開けます。冷気と共にカビと土くれの匂いが鼻を突き、見えたのです。冷蔵庫の食材に群がる、たくさんの小さな人影を。手足が細く、腹部の膨らんだ姿は飢餓に陥った人々に似ていました。『小鬼』だと思いました。  私は冷蔵庫を捨てて引っ越すことを勧め、彼女の部屋の掃除を手伝いました。それから1年、彼女は心身ともに健康を取り戻しました。役に立ててよかったと思うと同時に、あの小鬼は何だったのかと今でも思います。
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