13 俺のために七十パーセントマゾでいてください(最終話)

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 拍子抜けしそうになるが、前日初結合疑惑を思い出して質問を追加する。 「じゃあ土曜は? 土日とも用事があったんですよね。土曜はなんだったんです?」 「土曜は婚約解消の件で専務に詫びを入れにいっていた。専務は東京にいるから、出張の帰りに寄ったんだ」  まったくもって非の打ちどころがない行動に、雨宮は目を白黒させるしかなかった。 「いや、あの、先週俺に冷たくしてたのに、なんで週末の行動がそれなんです?」 「冷たく……したか?」  戸惑いを見せる黒田に、雨宮は「なんで?」と食い下がる。 「だって水曜日、道で会った時に睨んできたし、木曜に電話入れたのに、折り返し電話くれなかったし……」  改めて言ってみると全然大したことではなかった気がしてくるが、黒田はそれを聞いて思い当たったようだ。 「それは……すまなかった。水曜日、君は派遣の人たちと店に行ったんだな。私は七瀬さんと二人で行ったのかと思ったんだ」  あ、と思い返す。そう言えば、派遣全員で行ったとは言わなかったような……。 「電話は、木曜の夜は飲み会で、君の着信には翌日気づいたんだ。だが君と七瀬さんのことを疑っている状態で楽しく話なんかできないと思ってかけ直さなかった。……君と話はするつもりだったんだ。だが婚約者がある身では文句を言う資格もないから、まずは婚約をきちんと解消してから話をしようと……」  雨宮は無言で黒田の両手をつかむと体の前に持ってこさせて、次にさっき外したネクタイで……。 「なんで縛るんだッ?」 「お仕置きです。責任とか資格とか言ってないで、自分の気持ちを大事にしてくださいって俺言ったじゃないですか」
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