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「はい」
いつものことだけど、こんなふうに声をかけてもらえるのは嬉しかった。
でもこの会議も俺は今日で最後なんだな……と思いながら、雨宮は丸橋の隣にノートパソコンを並べてスタンバイする。その時もう一人部屋に入ってきた。
あ、課長だ。
黒田は毎回参加するわけではないが、今日は参加するらしい。適当に入り口付近に座り、おじさん社員の横でノートパソコンを開いている。
なんだか課長と一緒に仕事してる感じが嬉しくて、にこっと笑いかけたが無反応だった。……地味にへこむ。
気を取り直して会議に集中する雨宮だったが、しばらくしてそれどころではなくなってきた。
さ、寒い……!
会議が始まった時は少し暑いぐらいだったのだが、エアコンでどんどん空気が冷えていく。半袖なので腕に鳥肌が立ち、体が冷蔵庫の中にいるみたいに冷たくなっていく。
きっと誰かが暑いからと温度を下げまくったのだろう。
社内ではクールビズ施策で夏のエアコンは二十八度と決められているが、あまり守られていないのが現状だった。
みんな寒くないのかよと見回すが、誰もそんなそぶりは見せない。全員長袖で、一人半袖の雨宮だけが割を食っている。
会議が終わるまで一時間、この状態……?
いや寒いだけならまだいいが、風邪なんか引いたら課長を調教できないじゃんとこの世の終わりみたいに悲観していると、すっと黒田が席を立ち、ピッピッとエアコンの温度を上げてくれた。
あ……。
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