05 え、これって課長に振られた?

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 眉間に皺を寄せ、今までで一番というぐらい、苦々しい顔だった。  迷惑……なんだ、俺。  瞬間的に、そう解釈した。 「君は軽々しく考えすぎだ。こういうことには偏見がつきまとう。君だってわかるだろう」  それを言われれば、返す言葉はない。  雨宮と違って黒田には守るべきものがたくさんある。今の仕事とか社会的地位とか世間体とか。  男同士でつき合って、リスクを負うのは断然黒田の方だ。  思えば今の交際相手は専務の娘で、出世街道まっしぐらコース。  自分は快楽は与えられても、そういうものは与えられない。むしろこの人からそれを奪うことになるかもしれない。  そういうことを暗に言われたのだと思い、雨宮はくしゅんとなってしまった。  そんな雨宮を見下ろし、黒田は静かに息を吐いた。 「私にとっては、君は部下だ。それ以上でもそれ以下でもない。わかってくれるか」 「……はい」  黒田の声が少しだけ和らいでいたのが、せめてもの救いだった。  もう今度ばかりは前向きな要素を見出すことは、雨宮でもできなかった。
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