06 振られてしょぼん。だけど課長は優しくて?

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 いつも薄暗い倉庫だが、雨のせいで今日はさらに暗い。そんな中、いろんなクリップがごちゃ混ぜになっている箱から手頃なサイズのものをつまみ出しつつ、雨宮の思考はまた暗い方向に戻っていく。  ……これからどうなるんだろ、俺。  先行きの不安から、思わずはぁー、と大きなため息をついた時、いきなり斜め後ろから声がした。 「なんだ。悩み事か」  ……!  がばっと振り返ると、こんなところには珍しく、黒田である。黒田が同じ部屋に入ってきたのに気づかないとは、我ながらどうしたことか。 「君がため息をついていると何事かと思うな」  黒田は眉間に皺を寄せ、間違い探しでもするようにしげしげと雨宮を見下ろしてくる。  ……声、かけてくれるんだ。  つきん、と胸が痛んだが、雨宮は意識して笑顔を作った。 「あー、ちょっと今日の朝、住民……」 「住民?」  しまった、と思った。  正社員なら住民税は十二ヶ月で分割して天引きされるので、あまり意識することがない。「住民税が来てブルーなんです」なんて言っても、非正規労働者ならではの悲哀を無用に強調するだけである。 「あ、いえ、なんでもないです」 「……近隣の住民から君に苦情でも来たのか?」 「いえいえいえ。どんな人間ですか俺。ちょっと、テレビの話ですよ」  不審そうな顔をする黒田をごかますために、笑顔を保ったまま言葉を続けた。 「ていうか、課長が思ってる俺のイメージってどんなのですか」  すると、黒田はじろっと雨宮を見遣る。
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