06 振られてしょぼん。だけど課長は優しくて?

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「そういうことしか君がしないからだろ」 「……すみません」  返す言葉もなく素直に頭を下げると、頭上で短く笑うような息の音がした。  ……え?  顔を上げると、普段通り生真面目な顔の黒田がいるだけだった。  空耳かな?  そう思ったものの、胸はどきどきと騒ぎ出す。  課長のまとう空気が、今までになく穏やかな気がした。 「ああ、そうだ。箱を探しにきたんだ」 「箱?」 「USBメモリの管理簿があるだろ。あれ、箱に入れてデスクの横に置こうと思ってな」  あああれか、と思い浮かべる。今は課長のデスクの側面に磁石のフックでつり下げてあるのだが、管理簿が重くなりすぎてしょっちゅう床に落ちているのだ。 「これでいいですか」  雨宮がファイル用の箱の中から適当な大きさのを渡すと、黒田は「うん、いいな」と頷いた。その言葉に、胸がほわっと熱を持つ。  誉められたのって、初めてじゃないだろうか。  いや別に誉められたまではいかないのだが、肯定的な言葉をかけられたのは初めてだ。それは間違いない。 「あ……それだったら、マグネットのクリップでその箱をデスクの横にとめたらどうですか?」 「とまるか?」 「いけますよ。指はさんだら血ぃ出そうな四角いごついのがあるでしょ」 「……あれか」 「確かこの辺にあったと思うんですけど」
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