捨てられない手紙

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 大好きだったあの人の、たった一通の手紙。  手紙と読んでもいいのかわからないけれど、他の人から見たら、ただの紙切れかもしれないけれど、私にとっては大切な手紙。  初めて出会った時から失恋だった。家庭を持っているって、赤ちゃんが再来月産まれるってわかっても、それでも、気持ちは止められなかった。  臆病で引っ込み思案な私には、想いを伝えるなんてできなかったけれど。  この手紙は、あの人が唯一くれたもの。 『頑張れ』  それしか書いていなかったけれど、とても嬉しかった。  何年経っても、私は、この手紙を捨てられずにいるのだろう。
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