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「ねえ、知ってる?」
「何が?」
愛美の質問にピンと来てないところを見ると、どうやら噂のことは圭子は知らないようだ。
「こないだ里美が亡くなったって話があったじゃん?」
「ああ、そのこと。
悲惨な死に方だったらしいね」
「その事なんだけど、里美から愚痴っぽく聞いたことがあったからさ・・」
「ーー何それ、マジきもい。
てか、今でもこんなのあるんだ」
里美は手紙を愛美に見せて言った。
「たぶんアイツだと思うんだ。アイツ」
「ああ、真希?」
「うん。ほら、アイツ千秋のことハブってたじゃん。それでこないだとか授業中に同じ班なのにまだそんなことしてたから言ってやったの」
「・・の方が良いと思うんだけどみんなはどうかな?
そうだ、指原さんは歴史詳しかったよね?調べ方でおすすめとかある?」
指原とは千秋の姓。社会の授業で発表することを班内で話し合っていた。班長の男子生徒が千秋に話を振ると、千秋が口を開く前に遮るように真希が言った。
「ーー佐藤くんの方が歴史得意じゃんっ。佐藤くんの案でいこうよ」
「いや、でもせっかくなら色んな意見を聞いておきたいし。指原さんはどう思う?」
千秋は何か言葉を発しようと少し口を開けたが、皆の顔を窺うように目を動かすとこう言った。
「・・あ、・・さ、佐藤くんの意見が良いと思う・・」
「ほらねっ、はい、決定っ。
佐藤くん、良いでしょ?」
「まあ・・、皆がそれでいいならいいけど・・。大丈夫?」
すると、別の班の里美は小さく「・・限界っ」と漏らした後、真希に言い寄った。
「ーー真希っ、あんた大概にしたら?」
笑顔を班内で見せていた真希は、その表情のまま里美の顔を見た。
「あんたは楽しいかもしれないけど、あたしは良い気持ちじゃないからっ」
「はぁ?何、急に?」
真希の眉はシワを寄せた。
「言わなくてもわかるでしょ?
プライベートなら仕方ないけど、授業中にそれはないでしょ?」
「だから、何のこと?普通に話し合いしてただけでしょ?」
「ーーおいっ、何を揉めてるんだっ」
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