のろい

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「ーーどうしたの?」 「里美ちゃん、この間はありがとう・・。  真希ちゃん、普段はそんなに前と変わらないけど、授業中とかは普通に接してくれるようになったから」 「まあ、プライベートは仕方ないよ。相性ってのがあるからね。女の世界には必ずあんなのがいるし。  何かあったら話くらいは聞けるから」 「ありがとう・・。それで、ちょっと相談があって・・」  千秋は里美にある手紙を手渡した。 「実はこんなのが私のくつ箱に入ってて・・」 「千秋も?あたしもくつ箱に入ってたよ。  真希かなって思ってたけど、違うってことか・・。誰だろ・・?」 「・・私、あんまりみんなに好かれてないから・・。でも、里美ちゃんももらったなら、もしかしたら真希ちゃんかも・・」 「うーん・・、先生に相談した方がいいかなぁ・・。でも、こういうのって話を大きくすると変に噂が立つからなぁ・・。  ぶっちゃけあたしはどっちでもいいんだけど、たぶん千秋は変に陰口言われるようになんないかなって」 「・・だいたい何でこんなことするのかな」  すると千秋は人が変わったように大声で「あーっ、マジでムカつくっ」と下を向いて叫んだ。 「本当にキライキライキライキライキライっ。私が何か悪いことしたならわかるけど、それなら堂々と言ってほしい」  里美が知る千秋からは想像つかない言葉と声。  そして、急に里美に顔を向け、 「ほんとガキみたいだよねっ」 と自分自身が間違った言動を当然していないというような表情で、同意を求めるかのように言った。 「まあ・・、うーん・・。そうだなぁ・・」  里美は即答はしなかった。 「・・たぶんね、みんな千秋みたいに大人じゃないんだと思う。  こういうのが面白い年頃なんだよ。それにこんなことしてたら友達からハブられることってないじゃん?」  千秋は変わらぬ表情で里美の顔を見続けた。 「何て言うのかな、ほら・・、何となく言いたいことわかるでしょ?ねっ?」 「だとしても人が嫌がるようなことするなんて良くないよっ。でしょ?」  千秋は早口で言葉を返す。 「ーーでね、ああこれは話が合わないなって思ったから、また何かあったら相談乗るからって言ってその場は終わったんだけどさ」  食器を片付ける里美の母。洗い物をする母の背中を見ながら里美は話を続けていた。 「あの感じなら千秋が嫌われるのも仕方ないよ。  ぶっちゃけ顔もかわいくないのに」 「本物のブスね・・」 「ほんとそれっ。顔は仕方ないけど性格ブスは整形できないよ」 「でも、そんな子ならいじめられるのは仕方ないかもね。もしかしたら、その手紙も真希ちゃんじゃなくてその子だったりしてね」 「まあ、千秋の性格的にはそっち系のことはしないとは思うけど。でも誰かな・・」 「お母さんの予想だけど、真希ちゃんを嫌いな人があんたと千秋ちゃんを利用したんじゃないかな?」 「あー・・、なるほどね。  けど、ぶっちゃけこんな手紙もらったらいい気はしないよね・・」
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