のろい

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 マンションの一室。 「・・呪いには2つ種類があってね。  無意識と有意識がある。  福本さんのは有意識の方だね」  福本は愛美の姓。顔からは年齢を推測できない程に布で覆われた風貌。しかし、声から窺うに愛美達ほどには若くない女性であることは間違いないようであった。  その女は『念術体系』と書かれたファイルを取り出すと、あるページを愛美達に見せた。 「これは私がまとめた物なんだがね。  人から発せられる念を物質に移すんだよ。今回で言うならその例の手紙。  物質に移された念は、念の元となる人とは別人格となる。念の元となる人の意思に反して想定外の動きをしてしまうことがあるということだね」  女の話に愛美と圭子は相づちを打ちながら耳を傾けていた。 「もし、あなたにその念の意思が伝わってるとすれば災いは降りかかるだろうね。でも、だとすればあなた達も疑問に思っているように、なぜ今回亡くなった人がその念の意思を受け取ってしまったか」 「やっぱり里美は呪いの影響であんな死に方をしたんですか?」  圭子が尋ねると、女は愛美の方に手を向けながら話を続けた。 「本来ならあなたがその念の意思を受けている筈だろうね。でも、手紙を拾った段階で新たに念の意思を受けた可能性もある。  はっきり言って、それに関しては私にはわからない」 「あの・・、結局の所、私は大丈夫なんですか?」 「結論から言うなら大丈夫だよ。ただし・・」  女のマンションを出てからのこと。 「ーーこんなんで大丈夫なのかなぁ・・」 「ほら愛美、考えない考えないっ」 「でも、考えるなって言われると考えちゃうよねぇ」 「まぁ、結局は気持ちの問題ってことでしょ?」 「うーん・・」
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