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「ーーただし、例の手紙が完全に無くなってるならね」
「どういうことですか?」
女は別のページを開いて見せた。
「この図を見てもらったらわかると思うけど、念の媒体、つまりは例の手紙だね。それがない限りは、あなたに残っている念を別の人に移すことができないんだよ。それで・・」
女はまた別のページを探して開いた。
「念にも代謝があるんだが、代謝で消えてなくなるのは無意識系か、媒体が無くなっている場合だけ。
でも、あなたの友達が亡くなったことを考えると、もしかすればその手紙は残ってるのかもしれない」
圭子は尋ねた。
「ちなみになんですが、よく『同じ内容の手紙を○日以内に○人に~』とか『○日以内に○○が起きる』ってやつがあるじゃないですか?あの場合ももらった手紙を捨てれば良いんですか?」
「そこに元々強い念がなければね。あれば影響を受けるかもしれないね。ただし、念というのはマンガのように万能じゃないからね。
念にも自浄作用ってのがあるからね。特に、念の条件が厳しければ厳しいほど、念の生命力は弱いから意外と何の問題がないことの多いんだよ」
「・・今回の『苦しい死に方』ってのは、そう言われればけっこう色々とありそう」
「そうなんだよ。だから、意外と根深く残ってるんだよ。
それにもう1つ問題があって、あなたが今回の友達の死に方と手紙の内容を結びつけて考えてしまっただろう?
もしこのまま媒体が残っているようならあなたへの念は消えないね」
「えっ?さっきは大丈夫だって・・」
「大丈夫だよ。これを見てごらん」
そう言って女はファイルの一番上のページを開いて見せた。
「・・結局は呪いは消えないけど、呪いは起こらないよって呪いみたいなのかければ大丈夫ってことみたいね」
「でも、相談料一万円で、念の媒体になったお札が五万か・・。高いのか安いのか・・」
「確かに、私が愛美にそんなお札タダで渡しても効果なさそうだけど、五万払ったからね。ある意味笑えるんじゃない?」
「うん、効かなかったら何の五万だよってツッコミ入れたくなるし」
「ハハっ。でも、死んだら何も言えないよ?」
「ハハっ、まあそうだけど。でも、とりあえず死ぬまでこの変な呪いのことは考えなくて済みそう。もし私が悲惨な死に方したら笑って」
「ハハっ、めっちゃ笑うよっ」
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