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僕達は腰を下ろして体育座りをし、陸橋の下を眺めた。
沢山の車が早いスピードで走っている。
今ここから飛び降りたら絶対死ぬだろう。
軽自動車だったら微妙だけどトラックに当たったら即死かな。
当たるとしたらトラックがいいな。
「僕、今日プレゼン行かないといけなかったんだけど、もう間に合わないなー。」
「僕も今日プレゼンだったのになー。」
「憂鬱だったから行きたくはなかったけど。」
「同じくだ。」
「クソだよなー。社会ってのは。」
「間違いねえ。クソだ。空はこんなに綺麗なのにな。」
「ああ。地上はこんなに汚れちまってる。」
「鳥はあんなに自由に飛んでるのに。」
「人間は必死に這い蹲ってる。」
僕達は手すりを握って立ち上がった。
二人して立ちくらみがして、しばらく目を閉じて耐えた。
再び目を開き隣を見ると、ソレも僕を見ていた。
「二人とも死んだらどっちもオリジナルってことでよくない?」
「それ、僕も今言おうとしてた。二人だったら死ぬのも怖くない気がしてきたし。」
「どうせ僕達が死んでもクソみたいな社会は回り続けるしな。」
「間違いない。悲しむことなく周り続けるだろうな。」
「よし。」
僕達は手すりの上に立ち、手を繋いだ。
ああ、体温まで同じなんだな。
自分の右手と左手合わせてるみたい。
「裏切るなよ?」
「そっちこそ。」
僕達はゆっくりと状態を倒し、陸橋の下に向かって落ちた。
ドゴン。
運良くトラックにぶち当たった。
瞬間。
無痛。
暗闇。
静寂。
自分の体から自分の魂が抜けていく感覚がわかった。
天国に行く直前に最後に見た光景は、
'僕一人だけの死体'を大勢の人間が囲んでスマホで撮影している様子だった。
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