ここではない、何処かへ…

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 一時間目終わりの休み時間、教室にはまばらながらも大小いくつかのグループが出来ていて、話が盛り上がっている様子だ。  少し離れた所にいるクラスメイトが気付くかもしれないということは、ちゃんと分かっていた。だけど、急に湧き上がった衝動を押さえることが出来なくて。  早弁をしていた友人の(りく)の唇についていたご飯粒を、唇ごと頂いた。その柔らかい感触が更に俺を妖しい気持ちにさせた。 「なっ、何っ?!」 「陸、ここにご飯粒ついてたから」  自分の唇を指さしながらそう言った。俺のキスに動揺し、顔を真っ赤にして慌てている陸がやたらと可愛い。 「行こう」   そう言った俺は、本当はどこへ行きたいのか?  二人だけになれる小さな部屋か、誰もいない屋上とか体育館裏か?  それとも、何処か遠くへ…。   ふと、それも良いなと思う。俺たちの事を知っている人なんていない遠くの街で、繁華街を手を繋いでブラブラと歩き、夜は旅先のベッドで一緒に眠る。
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