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進化と退化は表裏一体である。
人類は四足歩行から二足歩行へ『進化』した。
器用に手足が使えるようになった反面、
筋力や瞬発力などは『退化』した。
人類は思考し行動するため感情を得た。
本能を理性で押さえつけることが増えた。
「わたし子ども欲しくないんです。」
街頭インタビューに女は答える。
「だって自分の時間が減るのは嫌だし、自分一人で生きてくのが精一杯。」
このような女性が増えている。
昔なら女性は子どもを産むのが当たり前だった。
今は違う。女性も男性も生き方が選べる時代だ。
私はその変化を否定しない。
これも一つの『進化』なのだ。
だが、子どもが生まれないと人類は滅亡する。
そこで各国の政府は考えた。
人類を『退化』させることを。
理性的に生きることが人口低下につながるならば、本能のままに生きることは、人口増加につながると考えた。
私は長年の研究の末に、ようやく完成させた。
本能人間を。
私は新しい人類と出会えたのだ。
これで人類の繁栄は約束された。
本当にそう思った。
だが世界の思惑通りにはならなかった。
理性を無くした人間は争った。
自分の欲求を叶えるために。
人類はどんどん数を減らしていった。
私のしたことは間違いだったのだろうか。
それはもう誰にもわからない。
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