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歓喜
渡会慶介の日課に、散歩がある。
近くを流れる川に沿って、川べりをぶらぶらと歩くのだ。
年も三十に近づき、胴回りはもとより全身の肉付きが気になることもある。
しかし、散歩の目的はそういった事とは無関係で、ただ川を泳ぎまわる魚たちを眺めるのが目的だった。
川底には様々な地形があり、その場所によって魚の住み分けがある。深いところにはギンブナやコイがその大きな体躯でゆったりと泳ぎ、浅いところには名前も知らないような小魚達が、その細かな鱗をきらきらさせながらすばしっこく泳いでいた。
川岸からそれらを眺めていると、ついつい時間を忘れた。
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