何よりも鮮やかな世界

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 私は家に帰るとすぐさま護さんのホームページを開いてみた。  今後の予定が書いてある。どんな演奏をするんだろう? いきなり押しかけたら迷惑だろうか。本当はろくにクラシックなんて知らないのに。 「そんなんだからダメなんじゃない!」  私は自分に喝を入れた。引っ込み思案な性格のせいで、恋も仕事もいつも失敗してきた。護さんとの出会いは私に新しい世界を教えてくれる。根拠はないがそんな気がしたのだ。  目が視えないという大きなハンデがありながら、音楽という難しいジャンルに挑戦する彼に触発されたのかもしれない。 ――今のまままじゃダメなことは私にもわかってる。だから……  翌日、私は帰り道にCDショップに行ってピアノのCDをいくつか買ってきた。護さんの憧れの人、辻伸一さんのCDもね。  今はネットショップでダウンロードも出来るけど、形から入るのもいいじゃない? ブックレットに曲の説明も書いてあるし。  クラシックってなんだか敷居が高くてろくに聞いたことがなかった。彼はどんな音楽を聴いているんだろう? 私はヘッドホンを耳に当て、ショパンを流してみた。
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