郵便配達員の手紙

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バイクを止めて、リアボックスから手紙を取り出す。玄関のインターフォンを押してみるが返事はない。 少し粗っぽいが、玄関を軽く叩きながら呼んでみる。しかしそれでも返事はない。 半ば諦めかけながら垣根沿いに進むと、小さな畑に老人が小さく踞っていた。垣根の仕切り方から見て、この家の人で間違いないだろう。 近くにより「お手紙ですよ」と声をかけてやっとこちらに気が付いた。近付いてわかったが、踞っていたのも畑の雑草を抜いているところだった。 手渡そうとすると「最近、てんで文字が読めなくておいねぇ」と入れ歯をカタカタと鳴らしながら話してきた。 この町は配達のノルマも少なく、時間に余裕もある。 休憩用であろうベンチへ二人でならんで腰を掛け、しっかり届くように声を張り上げた。
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