郵便配達員の手紙

「おばあちゃんへ。お元気ですか？私たちは元気です」
この間送ってくれた野菜のこと、子供たちの成長、家族でいった旅行先のこと、祖母への心配事。全て丁寧な手書きで書かれていた。それを読み上げると、老人は目を閉じて頷きながら熱心に聞いていた。
二枚目には、その子供が描いたと思われる、曲がった線の似顔絵。小さな袋にまとめられていたのは、旅行先の家族写真や景色の写真。老人はそれを手に取ると、顔を遠ざけたり近づけたりしながら穴が開くほどに見つめた。
子供が描いた似顔絵をくまなく見つめては、上手いでしょう、いい子でしょうと繰り返した。

読み終えた手紙を丁寧に元に戻し、しっかりと老人へと手渡した。読んでくれたお礼に、と大きな玉ねぎを渡された。
老人へ挨拶を終えてからバイクへ戻り、座席下の収納スペースに玉ねぎをしまった。今日のこの事はきっと、局長には内緒にして置いた方がいいだろう。

しまった玉ねぎがゴトンゴトンと奏でる音楽に揺られながら、残りの配達を終わらせることにした。