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7話、生きたビスクドール
7話、生きたビスクドール
「失礼致します、そろそろお目覚めの時間ですのでハーブティーをお持ちし…」
フとアーデルハイトが部屋に入って来た瞬間、手に持っていたハーブティーを落として固まった。
よくよく考えてみたら今のオレは、ベッドの上で横になっている謎の下着姿の幼女の上に跨っていることに気がついた。
「うむ?アーデルよ、いったいどうしたのだ?」
「お、お怪我はありませんか!?」
「ない」
「良かった…」
アーデルハイトはオレを他所に幼女のそばによると泣きつくかのようにそのまま幼女に抱きついた。
た、確かにオレはハタから見たら幼女の寝込みを襲う暴漢に見えなくもないが、どうも傷つく。
「よしよし……ところでアーデルよ、このガイチュウはなんだ? ずいぶんと毛なみがわるいのぉ、ルーポの新しいペットか?」
「害虫!?!?」
そしてルーポの新しいペット…だと!?
いちいち気に触るな…。
「クレー様、こちらはヴォルフさん。ルーポ様の新しいお友達だそうです。そしてヴォルフさん」
「お、おう……」
「こちら方はクレー・ディアマント・スマラクト様、ジェスター様とルーポ様のイトコに当たる お方です!」
アーデルハイトは嬉しそうに言った。
友達? いや強いて言えば腐れ縁だ、だがそれを否定されたかのようにオレはアーデルハイトの笑顔に打たれた。
い、癒される……。
「ヴォルフ…? ドイツ語でオオカミか…、プッ……「オオカミ」というより「黒いチワワ」のようだな」
「なんだと!?」
クレーと紹介された幼女はアーデルハイトとは裏腹な人を小馬鹿にするような笑みを浮かべた。
「なんなのだ そのタイドは。虫から犬にシュッセしたのだぞ? 少しは よろこばんか」
アーデルハイトを天使と例えるとコイツはまるで魔王だ!
人形型の女魔王だ!
ルーポやジェスター以上に癪に障るヤツだ。
しかしイトコ…。
変態道化師のジェスターとケツ掘りのルーポ、そして人形下着幼女のクレー…これなら合点がいくな。
「うむ、ジェスター…。コイツへのショバツはどうする?。エサにヒマシ油でもあたえるのか?」
「うーん…、アジア人だからマーマーイトを混ぜても良いんじゃなぁい?」
「ヒマシ油?マーマーイト?」
「もう!面倒だからクルソニー!説明してぇ!」
「畏まりました」
ジェスターはそう言うと、相変わらずオレをドブ川のカエルでも見ているかのような目で見やがるクルソニーに説明を預けた。
「オホン、ヒマシ油とは主に子供の悪戯等を躾される下剤でございます。マーマーイトは英国のジャムのような食べ物で味は賛否両論と分かれます」
「ああ、そ…、説明ありがとうな。ガンしか飛ばすことしか出来ない 眼鏡ドバトさんよぉ」
「ルーポ様の矜恃に傷をつけるなんて……その二重の意味で口の悪さに恥じらいを持たないと困ります」
「誰に向かって口きいてンだァ!?」
「貴様ザマス!さてはルーポ様を誑かして権力や金銭を奪うつもりでザマしょう?」
「なンだとォ!?」
「はい、Stop…」
ルーポがオレとクルソニー距離に手を添えた。
それはまるで大型犬同士の喧嘩を止めるように。
「ヴォルフの間違いのであれば仕方ないですね」
「ルーポ!?」
ルーポの言葉に対してクレーは驚きを隠せないでいる。
「クレーは淑女なので眠る時は部屋を施錠してください」
「むむ……」
「それにヴォルフへのお仕置は決まっていますから……」
ルーポはそう言うとオレに不敵な笑みを浮かべた。
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