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手紙は紙飛行機になる。折り鶴にもなるし、なんならロボットにもなる。文字だけが浮かび上がり、宙を舞うことさえできる。そして、どんな形になったとしても、ちゃんと、相手へと伝えたい内容が飛んでいく。
まるで魔法のよう。
私は、今日も学校の休み時間に手紙を書いていた。今日は紙飛行機にしよう。そう思って手紙を書き終えると、それは淡く青い光に包まれて、まるで命を吹き込まれたように折りたたまれていく。紙飛行機だ。私はそれを手に取って、彼の方へ軽く手首をスナップさせて投げた。
完璧の直線コース。私の手紙は、今まさに机で突っ伏して寝ている彼――遠滝くんに向かう。正確には、遠滝くんの後頭部へ。
紙飛行機はつんと狙い通りに当たり、突き刺さる。よしと、私は心の中で小さくガッツポーズする。それなのに、何秒経っても彼は微動だにしない。
むぅ……。
私は、さらに追撃を試みる。
『起きろ、バカ!』
さっきと同じ内容を書いた手紙は、今度は鶴の形になる。それは、懸命に羽ばたいて、彼のところに飛んでいく。
さあ、行け! 奴をつつき起こすんだ!
やっとのことで、鶴は彼の耳のそばに降り立つ。後は標的に奇襲を成功させるのみ。とても小さくか弱い刺客は、その心もとないくちばしで彼の耳の穴を高速連打した。
と、思った瞬間、ひゅっと鶴が消えた。
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