8人が本棚に入れています
本棚に追加
魔法を覚える者たちは、空を飛びたいと願う者が多い。
しかしピーターパンのように俺たち自身が飛べる魔法などない。
何かのモノを使って、それを浮かすことならなんとかできるが、それは卒業試験に近い高等技術なのだ。
まだ新入りのハクには、ほど遠い技術・・・
それをやろうというのか?
今にも高台から飛び出しそうな彼女を放っておけずに、俺は一目散に走りだした。
そして力の限り声を出して止めた。
「おい、ハク!!! 待て!!! 早まるな!」
その声が届くと、彼女は俺の方を振り返った。
そして俺が息を切らしながらたどり着くまで待ってくれた。
「おい、勝手に危ないことをするな! 怪我したらどうするんだ!」
ハクはそんな俺をキョトンとして見つめる。
「コン先生、だってね、
今日は数百年に一度の流星群が見れるんですって!
だから、だからね・・・」
目をキラキラさせながら俺を見上げるハクはなんとも可愛い。
「だからといって、こんな場所でひとりじゃ危ないだろ?」
「だから、コン先生が来てくれたんじゃないの?
先生と一緒に流星群見たいの・・・」
ハクはそう言いながら俯き、俺の服を遠慮がちに掴んだ。
あぁ、まずい・・・
これほど危ないものはない。
この天使はなぜこんなに俺の心を掴む?
この嬉しいハプニングに心は完全に舞い上がっていた。
こいつと二人きりで、このロマンチックな星を見るのか?
なんて感動的なんだ!
そう願ったり叶ったりの状況・・・
どうする、俺??
最初のコメントを投稿しよう!