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助手席から見上げる空は、茜色に染まっていた。試合の帰りに、業務用スーパーに寄ってて、こんな時間になった。
軽の箱バンの運転席に座る深里は、直接、店舗兼自宅の帰るつもりだったが、ガソリン代がもったいない。僕が言い出し、業務用スーパーで冷凍食品の仕入れをしていた。
業務用スーパーでは、足元がふらつくので、ほぼ深里が買い物をしてくれた。
僕の太ももの上にある不思議調味料入りのガラス瓶を手に取って、見つめる。O国語は読めないが、ラベルには、叫んでいるかのようなイラストがついていた。
「使う機会がないのに、渡されても迷惑よ」
赤信号で停車した。ハンドルを握る、深里は横目で瓶をチラ見した。
「うちの店は、冷凍食品しか使ってないからね。深里は飛田さん嫌いだろう」
「大嫌い。飛田さん、どこか後輩に威張ってるもん」
「僕と大学のボクシング部では同期だから、そう言うなよ。使い道ないから、店の邪魔に、場所で落ちないよう飾って置こう。」
信号が青になり、車が混雑した道を再び走り出す。
「私、店に飾りたくもないけど、あの人がこんど店に食べにきたら、しっかり代金もらってよ」
「う、うん」
運転する深里の表情が曇っている。話を切り替えることにした。
「深里。飛田さんのことより、グルメサイトで星が3つで止まってるの、どうにかしないと」
「難しいんじゃない。だって、私もあなたも料理苦手でしょう」
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