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「この瓶をお店で見かけた署員がいたんですが、日本では違法な成分が入っているんです」
「え、知り合いからもらって、使ったことは一度もありません」
「はい、お店でも、奥さまからも、聞いております」
さーっと血の気が引いた。深里や僕が罪に問われるのだろうか。
「僕がもらったんです。深里は一切関係ありません」
「いえ、そういうことでなくてですね。海外旅行で日本では違法と知らず、お土産で買ってきて、空港で見つかり、そのまま没収が多い品なんです。どなたから、もらったかを教えてください」
全て正直に話した。県立体育館で飛田さんからもらったことをだ。飛田さんの住所や連絡先、電話番号、スマホに登録してあるので、刑事さんにお伝えした。違法なモノと知らなかった。また新品未開封なので、瓶ごと没収で済んだ。
深夜零時を過ぎて、警察署を出た。明かりの消えた店に、帰宅する足取りは重い。
建物の裏に周り、家の玄関から入る。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい」
深里は元気に走ってくる。特に瓶のことは、気にしてないようだ。深里に寄れば、夕方、刑事さんがお昼ご飯を食べにきてくれたのだ。警察署の仕事は激務だ。
そこで瓶のラベルに気がついて、警察署に持って帰ってくださったそうだ。
「あの瓶嫌いだったから、良かったじゃん」
「SNSのメッセージで教えて欲しかった」
「ごめん、気にもしてなかった」
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