吐き出した、あのころの気持ち。

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幼少の頃の記憶を思い出そうとして、一番最初に脳裏に甦ってくるのは、仕事に行く、母の後ろ姿だった。 朝、普通なら、登校の時間。 私はまだ、布団から出られずにて、母の怒鳴り声と、キリキリと痛む胃に体を縮こませていた。 ひとしきりあーでもない、こーでもないと一方的な話すと、最後はいつも、「勝手にしないさい」と母は怒鳴る。 怒鳴って、分かりやすく、不機嫌です、て言う感じに足音を立てて、いつも仕事に行く。 部屋に残された私はそれを聞きながら、ボロボロと溢れる涙を拭いもせずに、カーテンの隙間を覗く。(もちろん、登校中の生徒には気づかれないように) 少しして、母の乗る車が走り去って行って、私はどうしようもない虚しさと、途方もなさに身体を震わせた。 学校に行って、周りに笑われるのが怖い。 母さんに怒鳴られるのは、嫌い。 ゆっくりでいいよ、どうしたいの?って明らかに「早くしよろ、クラス行けよ」って思ってるくせに聞いてくる教師が嫌い。 だけど、ひとりはもっときらい。 ねえ、母さん。 お願い、私の話、聞いて。 拙い言葉で、どうしようもない、幼稚なことばかり口にするかもしれないけれど、お願い、そばにいてよ。
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