エピローグ

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エピローグ

 ボクが退院してから1週間が立った。もうボクを中傷する新聞記事は失くなり、大量のマスコミもほとんどいなくなり日常が戻りつつある。驚いたのはボクを心配した彼方と和歌菜が日本に来てくれたことだ。春日が彼方達に付き添いボクの回復を確認して安心したのかボクが退院する日に彼方達は春日と共にイギリスに戻った。  いじめられた傷は一生消えないかもしれない。これからも辛いことはあるかもしれない。それでもボクは生き続ける。母が守ってくれたこの命を無駄にはしない。この事件を通して、ボクはいつかたくさんの人を支えられる人間になりたい、ボクを支えてくれたみんなのように誰かを守りたいと思った。真に心の暖かい強い人になりたいと思った。  どんなに辛くてもどんなに苦しくてもボクは前を向いて生きて行く。そして、考え続ける、今すべき事を。小さなカケラを見落とさないように良く周りを観察しながら真実のカケラを見つけよう。名探偵はただ有名なだけじゃない、本当の名探偵はたくさんの人を救えるSOSを見逃さない探偵でなければならない。犯人を死に追い込んではいけない。どんな命も同じ重さがあるのだから。  秋晴れのやや冷たい風が吹き抜け、髪がなびく。いつもの通学路、そして、いつもの声が聞こえる「レイちゃん、おはよう!」声の主はチィーちゃんこと森千尋、その隣には天童ネオンがいた。彼女達はボクが江戸川高校に転校して来て初めてできた友人達だ。ボクらは良く一緒に通学し下校する。今日もそうだった。  「でも、レイちゃんが元気になって本当に良かったよ。」ネオンは言う。ボクも大切な仲間なんだと。あんな事件があってもクラスのみんなは変わらずいつも通りにボクと接してくれた。助けてくれた。だから、今度はボクがみんなの力になりたいと願った。  授業が終わり放課後になった。「さて、今日は・・・」数人が教室に残りいつもの会話が始まった。
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