プロローグ

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プロローグ

 ボクは天宮零、旧姓は時和零。高校2年生。日本や西洋で活躍する探偵だ。イギリス留学中、日本で突如起きた事件でボクはこの日本に戻る。ある教師が同僚の教師達を殺害したのだ。その動機は10年前から8年前にかけてボクの担任として働いていた先生がボクへのいじめを見過ごしていた、いや、いじめを行っていた事を同僚の教師に知られずっと揺すられていたというものだった。元担任の先生はその事でボクを恨んでいてボクさえ居なければ殺人を起こさずすんだと供述した。先生は名前こそ出さなかったがいじめられていた子供が有名な探偵でイギリスに留学したという情報からマスコミはボクのことだと築きボクを殺人犯の様に報道し追いかけ回した。イギリスから日本に戻る際も無数のマスコミの追跡にボクは追い詰められていた。  ボクのせいで人が亡くなった。ボクが日本で通う江戸川高校にもマスコミが押し寄せ大騒ぎになっていた。「ごめんね。ごめんね。ボクのせいでみんなに迷惑かけて」と学校の友達に謝り続けた。「なぜこんなことに」と何度も呟きながらボクは何日も過ごした。  幸いボクの希望を利いてくれた警察の計らいで先生の事件を解決した探偵に危害は及ばなかった。ボクのせいでまた、誰かが傷つくのはもう嫌だった。  この事件でボクはやつれ身も心もボロボロになり、しばらく探偵業を休んだ。事件から2日後、ボクは学校で倒れ一週間入院した。その間に学校の友達や今のボクの家族がお見舞いに来てくれたり、マスコミが病院に押し寄せたりしたがボクは良く覚えていない。日に日にマスコミの数は減って行ったが一ヶ月付きまとうマスコミもいた。  ボクはなぜいじめられていたのか?殺害された教師の遺族への謝罪は無いのか?何度も聞かれボクは沈黙を突き通した。事件から3日間の新聞の見出しにはボクへの中傷が載せられボクの学校の下駄箱には知らない人からの憎しみの手紙が何十枚も入れられたらしい。その手紙はボクに気付かれないように学校の友人が処分してくれていた。  事件後、ボクは空白の過去を思い出し、うなされてほとんど眠れなかった。そんなボクを支えてくれたのは家族と友人達だった。彼らがいたから今までボクは笑顔でいられたし過去の辛い思いを乗り越えられた。
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