Episode2 無敵の戦乙女

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Episode2 無敵の戦乙女

 恐ろしい。一言でいうと、そんな女だった。 「ええい、まだか!」 「も、申し訳ございません、姫様。しかし、いくら屈強な騎士たちでも、この大岩はさすがに……」  進行方向の洞窟に、巨大な岩がある。ここを通らねば退治もなにも出来ない。  金髪の女は「どけ!」と一喝すると、腰から剣を抜き、一瞬で粉々に斬り裂いた。 「最近の男は鍛え方が足りんな」  エメラルドグリーンの瞳を、粉々に斬った岩に向けると、そう捨て台詞を吐いた。  現在自国の北、平原を挟み、ヘンドリア王国がある方面だ。市民の通報によれば、巨大なキルベアーが近くのトトノンの森から出てきたという。既にけが人も出ている。  カウノア・エレンコスペル。それが彼女の名だ。軍の一個大隊を統率する騎士であり、シュデイザー王国の姫でもある彼女は、幼い頃から騎士道を叩き込まれてきた。 「この辺りです」  一人の兵士の声に、小隊は止まった。  キラーベアーは気性の荒い、凶暴な魔物だ。昔、キラーベアーに襲われ、住民が全員殺された事件もある。階級ゴールドのヤマネコでは一溜りもないだろう。 「姫様、おりましたぞ」  うむ、とカウノアは頷くと、全員馬から下ろした。カウノアは馬から愛用の斧槍を引き抜くと、構えた。そして大きく息を吸った。 「私はシュデイザー王国王女、カウノア・エレンコスペルである! キラーベアーよ、我が槍術の前に朽ち果てるといい!」  狩りのように隠れて仕留めるなどしない。騎士道は、正々堂々がモットー。彼女はそれに反したことは無い。  カウノアは走り出そうとした時だった。ズン、という鈍い音がして、キラーベアーは倒れた。  何が起こっているのかわからなかった。キラーベアーは恐ろしく体力の高い魔物だ。それを一撃で仕留めることなど出来るはずもない。 「何者だ」  キラーベアーの死体の前に現れたのは、熊のように大きな男だった。
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