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テレビの音がやけに大きく聞こえるのは、こっちが静かになったからかもしれない。
「そうねぇ」
しばらく考えて、母さんは口の中のものを飲み込んだ。
「こないだ、あんたたちに内緒で、おばあちゃんとイタリアン行ったんだけどね。タッパー持っていけば良かったねって話してたの」
「いや、タッパーはまずいだろ」
唐突に始まった話だが、突っ込まずにはいられない。母さんは全然気にせず続けた。
「美味しかったけど、美味しいもの食べてるとあんたたちに食べさせたいって思うからいけないのよねえ」
それだけ言うと、母さんは地元の集まりの話を始めた。言葉は俺の耳を都合よく通り抜けていく。
「好きな食べ物」の回答になってねえじゃん。
これは「どうでも良く」ないような気がするけど、敢えてそこまでしか言ってくれなかったような気がした。
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