食卓

2/4
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「弟と? 一緒にいなきゃなんねえって、弟なんかあんの? 病気?」 「いや、そーいう訳じゃねぇけど……」 「弟も一緒に来れば?」 「そんなの悪ぃし」 「親と一緒に食うんじゃダメなん? 昨日、お前の分作ってあるって言ってたの、まさか弟が作ってるとか?」 俺のクエスチョンマーク攻撃に、チハルは仏頂面になった。 「んだよ、何でそんなに色々聞いてくんだよ」 その質問と同時に担任が教室に入ってきた。それで俺は「Sだから」と適当に答えて鞄を机の横に掛けた。 その日、チハルは思いに耽っていることが多く、いつものような元気がなかった。ちょっと突っ込みすぎたか。 ホームルームが終わり、鞄を手に立ち上がると、両手をポケットに突っ込んだままチハルが「おい」と呼び止めてきた。 「何」 「…………」 周りのクラスメイトたちが喋りながら教室を出て行く中、チハルは黙ったままだった。呼び止めておいて黙るって、なんだ? 帰るに帰れねえじゃん。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!