何でも良かった18年間

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何でも良かった18年間

「オヤジ! ラーメン!」 「ラーメン!」 「ラーメン!!」 同じ「元」野球部のメンバーが、気合を入れて「ラーメン」を連呼する。それに応えて、ラーメン屋のハゲオヤジも「アイヨッ!」と叫んだ。 それはホームベース主審が「アウト!」と叫ぶ甲高い声に似ていた。 頼んでもないのに、俺にもラーメンが運ばれてくる。麺の硬さは普通が好きなんだけど、「バリカタ」に茹でられた麺が、豚骨スープに泳いでいた。 まあ、どうでもいいんだけど。 幼馴染で「元」キャッチャーの西木なんかは体が大きい分腹も減るようで、替え玉まで頼んでいた。 俺たちは三年生。 もう夏は終わって、大学の受験勉強に追われる季節になっていた。真っ黒な学ランを着るのもあと数ヶ月。 このところ(つる)んでいるのは、幼馴染みの西木と、煩いほど元気な竹村、「元」キャプテン菅野。 仲が良かった服部は、修行の旅に出たらしい。そんな訳の分かんねえところが好きだ。
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