フードファイター、説明を受ける

1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

フードファイター、説明を受ける

ぼくにその話が舞い込んできたのは、ほんの数日前の出来事だった。 「どうか、この地球を救ってほしい」 そんなことを言われて心底驚いた。 一体どういうことなのか、皆目見当もつかなかった。 ぼくの名前は田中健。ごくごく普通の会社員27歳。そして、世界一のフードファイター。 フードファイターと言っても、ぼくの専門は早食いではなく、大食いの方だ。 小さい頃、学校でいじめを受けていて、それを晴らすために、毎日ご飯をひたすら食べ続けた。そして、気がついたらその才能を見出され、フードファイターとして世界で活躍するようになっていた。 しかし、フードファイトだけでは生きていけない。だから今日もぼくは、パソコンをカタカタと打って熱心に仕事をしていたのだが。 「地球を救うですか?」 「そうです」 いきなり呼び出しを受け、しかも社長室に行けといわれ、何かまずいことをしただろうか、もしかしてクビ……と最悪な状況が頭をよぎったが、そこにはぼくよりもさらに萎縮した社長と、そして日本の総理大臣、その人がいた。 総理大臣の秘書が語ってくれた話は、ぼくの想像をはるかに超えていた。 今、この地球を宇宙人が侵略しているらしい。そして、大食いで勝負しろといっているのだという。 「はあ」 正直それ以外の言葉が出るだろうか。 宇宙人が侵略?この惑星に?しかも大食いで勝負しろなんて、そんな話が、本当に…… 「事実です」 大真面目な顔をして、総理大臣がそういう。 「この挑戦、受けてくれますね」 「はあ……」 その返事はイエスと取られ、総理大臣は、それではというと社長室から出て行った。 「試合は7日後になります」 秘書もそういうと総理大臣の後を追って部屋を出て行った。 「きみに、特別休暇を与える」 そうしてぼくは、7日後の試合に備え、社長直々に特別休暇をもらった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加