modus: nil admirari

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modus: nil admirari

薄氷は 天と地とを隔てていた それだけだった それだけでいられなくなったので 私は境界を踏み割って 凍土へと墜落しながら手をのべた 差し迫る影の形をなぞり それを憶えておきたいと ささいな執着を愛しながら 砕けた そうしてやっと 地面のかたさを知りつくして 寝息を狙う白百合に 濡れた手形を残して起き したかったことをしようと立った 私の望むやりかたを 私自身に許してやった だってそのために降ってきたのだ 遠く 逆さまで 裏返しの影に 君に 求められていると気づいて どうして  同じところへ立たずにいられただろう 残った指を折られながらも みぞれの重みに逆らうことを 試みないではいられなかった この先 誰の手もとれないで いつか くずおれると知っていて それでも いま いまだけは 受け止めなければならなかった 向かい合い 胸をあわせて 君とつぶれてしまうのは そのあとでなければならなかった 成し遂げたあとであるべきだった あまりに雄弁な君の破片を もし 黙らせておけたとすれば それは冷害の再来で 無感動なあの空へ やはり帰るべきということだから そうならないようにしたかった それだけだった
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