1999年7月31日

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『ノ、ノストラダムスう!?』 あー確かにテレビで観た顔に良く似てる! 『突然の訪問をお許しください。 早速ですが、あなたは私の予言をご存じですね?』 『はっ、はあ。人類が滅亡するってアレですか?』 『そうです。実はアレ、ただのポエムなんです。そういう意味にも取れる、と言うだけで、そういう意味ではないのです』 『はあ』 『ところが現在、この誤った認識が数々の媒体を通して報じられている。 ほとんどの人は真剣に信じてはいないが、それでも心のどこかで思っているのです。 予言が当たったらどうしよう、と』 『……はあ』 『人が何かを思う力とは想像以上なのです。 それが何億、何十億と集まった時の力は計り知れない。 「7月31日に恐怖の大王が下りてくるかもしれない」 世界中の人々が心の片隅で気にかけている。 今夜、その思いの力が大気圏外に集まり、本来あり得なかった人類滅亡の予言を的中させるレベルに成長しようとしているのです』 『はあ……』 『時間警察の要請を受けて私はこの時代へやって来ました。自分の過ちは自分で責任を取ろうと。 そしてこの意識レベルを計測する未来のセンサーで、今この時代に一番私の予言を信じていない者の発するパルスを探しました。 それが少年よ、あなたなのです。 人の意思に対抗出来るのは人の意思のみ。 あなたの断固として予言を信じない鉄の意志を大気圏外に向けて放つ事で、具現化しようとしている本来あり得なかった恐怖の大王についての人々の思いの力を打ち消す事が……』 『……』 『あなた、私の話を全く信じていませんね?』
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