1999年7月31日

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やがて涙を吹きながら外人さんは俺の部屋を見回して言った。 『これは……あなたが研究しているものですか?』 『いや、まだ研究って程じゃ…… 近くに化石がよく出る地層があるんです』 『ほう、化石が……!素晴らしい。 未来の少年よ、あなたの将来に神のご加護があらん事を祈ります。 これはお礼です。いつか役に立つかもしれない。いらないと言っても置いて行きますよ』 外人さんは豪華な装飾がされた木箱を無理矢理渡すと、また何度も感謝の言葉をしつこいくらいに言いながら玄関から帰って行った。 良いことをした……のか? その木箱には手書きの本と言うかノートが何冊か入っていて、もちろん信じていない俺はそのまま部屋に放置していたんだが。 たまたまテレビ番組のなんとか鑑定団が俺の街に来た時に、目立ちたがり屋の母さんが適当な由来を付けて出てみたらスタジオに呼ばれる事になった。 鑑定の結果、ノストラダムスが書いた未発表の詩や占星術、料理関係の著書であり。 スタジオでは金額が決められない程のお宝とされ、日本のフランス大使館から直々に連絡が来て我が家とこの街はちょっとしたパニックになった。
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