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白ヤギさんからの手紙ではただ単に負けるだけだったものが、〝黒ヤギさん〟からのメッセージに返信しきれないと、今度は家に本物の手紙が届くようになるというのだ。
しかも、その手紙は童謡の歌詞どおり、「読まずに食べ」なければならない……本当にヤギみたく、紙の手紙をむしゃむしゃと食べなければならないのだ。
そして、食べ終わったら、また「さっきの手紙のご用はなあに?」と〝黒ヤギさん〟へ返信しなければならない。
もし、そのルールを守らなかったら、とても恐ろしいことが起こる……と、都市伝説はその結末をお茶で濁したままになっている。
いったい何が起こるのか? それを言わないところがまあ、都市伝説っぽいといえば都市伝説っぽい。もしかしたら、その設定までは決められていないのかもしれない。
だから、こんなものゲームの後から付け加えられた、ただの作り話に決まっていると、わたしもずっと思っていた…………
あの日までは。
「――ん? また来た。もう、いい加減にしてよね……」
その日も授業中にポケットのスマホがぶるぶると振るえ、黒板へ向かう教師を気にしながら、わたしは机の下でこっそりSNSのメッセージを確認した。
最近ではあえて授業中を狙い、仲の良い友人達が嫌がらせ的に「やぎさんゆうびんゲーム」を仕掛けて来ることが日常茶飯事になっていたので、今度もそうであると確信していたのであるが……。
「今度はいったい誰なのぉ? ……え? なにこのID……? それに、これって……」
メッセージを開いた瞬間、さあっと全身の血の気がひくのをわたしは感じだ。
そこには、「黒ヤギさんから白ヤギさんへ」という文章が書かれていたのだ!
しかも、送り主のIDは見知らぬ「KUROYAGI」というもの……まさに都市伝説のとおりである。
こんなことってほんとうにあるの? ……まさか、本当に〝黒ヤギさん〟からのメッセージが来るなんてことが……。
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