守秘義務違反

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 俺も芙由香もハル兄と同じ高校に進学するには偏差値が足りなかった。結局俺たちは揃って地元の高校に入った。卒業生の半分が進学、半分が就職するような、普通の公立高校。  それでも相変わらず芙由香とハル兄は付き合いを続けているようだった。去年のクリスマスに彼女は彼の下宿に泊まりがけで行ったらしい。それが何を意味しているのかは、俺だって良く分かってる。  だけど。  今年の夏のことだった。  免許センターで原付免許を交付してもらって、テンション高めの俺を家の前で待っていたのは、真っ青な顔の芙由香だった。  ハル兄に、他に好きな女が出来たから別れてくれ、と言われた、と。  信じられなかった。あのハル兄が、芙由香にそんな仕打ちをするなんて。  当然彼女も納得できていない様子だった。俺はハル兄に直接連絡を取ってみたが、芙由香とはもう付き合えない、の一点張りで、埒があかなかった。しまいには着信もメールもLINEも全部ブロックされてしまった。それは芙由香も同じ状況のようだった。 ---
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