修繕を繰り返すゴーレム

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━━━━━━ 数日後 リベラ「素晴らしい…流石だ!完璧だ!博士嫉妬しちゃう!!」 n「お褒めに預り光栄です、博士」 リベラ「堅い堅い、もっと素直に喜んでくれて良いんだよ?やったー!!とかウェヒヒとか!」 n「いえ、これでも喜んでいるつもりです」 リベラ「えぇ……調子狂うわー」 椅子に深く腰掛け懐から煙管を取り出す n「…」 nからの視線を察知するリベラ リベラ「ん?あ、ごめん苦手だっけ?」 n「いえ、度々それを使用している所を目撃するのですが、どのような意味があるのかと」 リベラ「意味?うーん…ないよ」 n「え?」 リベラ「何となく吸ってる感じ…そうだね、理由を付けるなら…落ち着く?」 n「落ち着く…精神安定剤でも入っているのですか?」 リベラ「うん、多分違う」 n「違うのなら何故…」 リベラ「ま、その内分かるさ、何も本や座学だけが知識って訳じゃない、森羅万象が知識の糧なのさ!そこから更に持ち合わせた知識で補う事によって新たな知識が生まれる…どうだ?素晴らしいだろ?そうであろう?」 両手を大きく広げ高らかに笑う n「…相変わらず気持ち悪いですね、博士は」 そう言ってnの口角が少し上がった リベラ「ははは、何とでも…っ!」 その様子を見たリベラの中で微かな記憶が甦る ?「相変わらず変わってるよね、君は」 nと同じようにリベラを笑う1人の女性 リベラ「…私は…僕は…俺は……?」 リベラは煙管を床に落とし、呆然と立ち尽くす 異変に気付いたnがリベラの元へ駆け寄る n「博士!?」 リベラ「………」 虚ろな眼差しでnを見つめた途端nの横を通り過ぎる n「…博士?」 リベラ「……」 資料が積まれた机に突如頭を繰り返し打ち付ける n「博士!!」 慌ててリベラを机から引き離す リベラ「私はリベラ、研究者だ。私はリベラ、研究者だ。私はリベラ、研究者だ。私は研究者だ、リベラ……」 顔一面が血に濡れ自己暗示をかけながら元の席へと戻っていく n「博士、治療を!」 リベラ「いえ、問題ありません…さて、お勉強を続けましょうかイリアさん」 n「いえ、私はnですあなが付けた名前ですよ?」 リベラ「おぉっ!真面目なイリアさんがジョークを言うなんて…!!先生感動しましたよ!!」 再び席から立ち上がりnに抱きつこうとする n「いやっ!来ないでください!」 辞書を顔に押し付ける リベラ「ちょっ…イリアさん!」 n「イリアという方ではないとおっしゃった筈ですが…」 リベラ「…そんな…そんな筈…」 再び頭を強く机に打ち付ける n「っ!!やめてください、それ以上は!!」 ピタリと打ち付ける手を止め、先ほど落とした煙管を拾いあげる n「…博士、今治療を」 リベラ「無駄だ、君に治療法は教えてない……すまない…、あれは最初に薬を投与した時に出来た人格だ」 n「人格?」 リベラ「あぁ、5年前…イリアという女性を亡くしたんだ…今絶滅したがゴブリンという種族がいてな…イリアはそのゴブリンを生み出す為の材料になった…」 n「材料…どういう事ですか?」 リベラ「イリアを触媒にしてゴブリンを作り出した…」 n「何故そのような生物を…」 リベラ「君たちゴーレムやホムンクルスが出来る前にも人智を越えた存在を創る試みはあったんだ…ゴブリンはその第1号だった訳…でも、何の皮肉かゴブリンが出来た事によって君たちの研究は飛躍的な進歩を遂げた」 n「では、博士はその時に薬の投与を?」 リベラ「…最初の内は彼女を助ける為に薬を打った…ところがどうしたものか、助けられないと悟ったら薬を打つ手は止まらなくなっていた…現実逃避ってヤツだろうね」 n「…ですが博士、先ほど人格が出来たとおっしゃいましたが、それに関する説明は」 リベラ「そう、薬を投与する度に人格は増えていった、精神も壊れていった…でもねぇ、記憶はなかなか消えないんだよ…消したいくらいなのにね」
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