手紙

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『おばあちゃんへ! くるみは、やさしくてかっこいい おばあちゃんがだいすきです。 これからもずっとながいきしてね! 100さいになっても 200さいになっても ずっとずっと、ぜったい、だいすきだよ。 くるみより』 画用紙にクレヨンで書いてある、古い手紙。 記憶はないが、鏡文字もあって、きっと平仮名を覚えたての、幼い自分が書いたんだろう、手紙。 折り目が一部破れているけれど、とても大事に大切にされていたことがわかる。 祖母は、何度も開いて読んではたたみ、たたんでは開いて読んだんだろう。 画用紙の裏の白い部分には、手あかが数えきれないほどたくさんついていた。 「うう…」 突っ伏しそうに泣きじゃくる胡桃を、篤史は優しく抱き起した。 「胡桃」 胡桃は篤史の胸で泣く。 篤史は優しく包み込むようにそっと胡桃に触れた。 「おばあちゃん…嬉しかったんだろうな」 「う…」 「胡桃のおばあちゃんのこと、俺も、絶対に忘れないよ」 「…」 胡桃の父は咳ばらいをし、少し赤くなってどこかに行ってしまった。 母親は微笑んで、台所へ向かう。 胡桃の弟の未来は、2人をじっと見ている。 未来と篤史の目が合う。 「未来、家では胡桃のこと頼んだぞ。 胡桃は泣き虫だからなあ… 男同士の約束、な!」 中学生になった未来は、声変わりの途中の声で、力強く頷く。 「お、おう!わかった」
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