手紙

3/4
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
胡桃と篤史は家を出て、近くの公園に向かって歩いた。 「胡桃のおばあちゃんさ、お見舞いの時、『胡桃の花嫁姿が見たい』って言ってたよね。 俺のこともすごく気に入ってくれて」 「うん」 隣同士、歩きながら話す。 「見せてやろうな」 「えっ…」 胡桃は足を止めた。 3歩先で足を止めた篤史が振り返る。 「4年、待って。 迎えに来るから」 「…」 胡桃は何も言えなかった。 「胡桃の花嫁姿、おばあちゃんにも絶対見せてあげような」 「はっ…?」 言葉は耳に届いているのに、胡桃には篤史が何を言っているかわからなかった。 「結婚しよう、胡桃」 「…」 篤史はとても優しく微笑んだ。 「返事は4年後まで、待つ」 胡桃はみるみる真っ赤になる。 「そんな、…そんな先のこと…」 「…胡桃しか、考えられない 100歳になっても、200歳になっても、 ずっとずっと、絶対胡桃を愛してる」 「篤史…」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!