おばあちゃん

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胡桃の恋人の篤史は1学年上の高校2年生だ。 元々同じ部活で、気が合った。 去年の部活のクリスマス会の帰り道で告白されて、胡桃も篤史を特に嫌いじゃなかったし、周りには彼持ちが増えてたし、何となく高校生にもなって『彼氏いない歴=年齢』を捨てたくてーーそんな見栄もあって、オッケーした。 篤史は優しくて、見た目も性格もまあまあ良かった。 初めての恋人。 付き合ってみると、篤史は本当に優しい男で。胡桃は、初詣も一緒に行ったし、バレンタインデーもホワイトデーも篤史と贈り物をしあった。 篤史は進学するから、と勉強も頑張っている。 通う高校はアルバイト禁止だから、2人ともお小遣いやお年玉でやりくりしている。お金がないから、デートといっても本当のお出掛けは月に1回。 その日は駅前で待ち合わせて、篤史のマンションで、おうちデートすることになっていた。 この日は3回目の訪問だった。 「あらあら、胡桃ちゃん、いらっしゃい」 「こんにちは! いつもお邪魔してすみません」 「いいのよ、ゆっくりしていってね 3月中旬にもなると、昼間は今日みたいに暖かい日も増えてきたわね」 篤史のママはバリバリのキャリアウーマンで、篤史の父親は、いない。 胡桃との交際を反対することもなく、いつも、快く迎えてくれる。 付き合って3か月。お互いにたくさん話して、胡桃は篤史を好きになっていった。 部屋で寛いでいると、ノックの音がして、篤史のママの声がする。 「あっちゃん、お茶…」 篤史のママは遠慮しているのか小声で、ドアから中には入らないで、篤史を呼び出す。 「ありがと」 「ありがとうございます」 篤史とともに、胡桃もドアから顔を出した。 「もう、邪魔しないから、ゆーっくりしていってね!胡桃ちゃん。 …あっちゃん、ママちょっと買い物に出るから。 17時ぐらいまでは絶対に帰らないからねー!心配ご無用よー❤」 にっこり笑う篤史のママに、篤史も胡桃も真っ赤になる。 「ちょ…別にいいって」 篤史が言い、篤史のママは『いいからいいから❤』とそそくさと出て行った。 「はははは…何気ぃ遣ってんだかな」 「はははは…そうだね」 2人はまだ、時々の、キスまでの関係だ。
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