おばあちゃん

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本棚にはアルバムが何冊もあって、前から気になっていた胡桃が言うと、篤史は見せてくれた。 「小さい頃の写真だから…あんまおもしろくないと思うけど」 「えー、見たいよ」 2人で隣り合って座り、一枚ずつめくっていく。 「あー…これが、篤史?」 「うん。俺だな 命名の時だな。 これが父親で、後ろが父親側のじーちゃんとばーちゃん。 こっちは母さん側のじーちゃんとばーちゃん。 俺を抱いてるのが母さん、だな。」 「篤史可愛いね。女の子みたい」 「うん、小さい頃はよく女の子と間違われてたらしい」 「へえ。 あ、これは、お宮参りだね」 「うん」 「可愛いね」 「あー、うん」 2人で笑い合って、ページをゆっくりゆっくりめくっていく。 「あ、これーー1歳の誕生日、かな?」 ケーキの前に映るのは、篤史と、とっても若い篤史のママでーー ーー写真に写っているのは、2人、だけだった。 篤史は笑った。 「俺が1歳になる直前の頃、父親の浮気で離婚したんだよな。 俺の母さん、あんな性格だろ? 『篤史は私が育てますから!!』って、ソッコー離婚したらしくてさ。 俺は小さすぎて、父親と、父方のじーちゃんばーちゃんの記憶がないんだ。 離婚した後も、会ったことない。 唯一、写真だけだなあ」 篤史は何でもないことのように、にこにこ笑っている。 胡桃は少し複雑だった。 「…そうなんだね…」 篤史は胡桃の頭をぽんぽん撫でた。 「ははっ…そんな顔、すんな。 『高校卒業したら、会うのはあっちゃんの自由よ』って母さんが言うんだ。 『18歳は大人だから大人扱いする』ってね。 だから…俺、探して、会いに行く」 「…」
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