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雪を融かす一匙の蜜(1)
「ど、どうしよう……」と、ユキは頭を抱えながら、苦しそうに寝ている祖母を見つめた。
一時間前に熱を計った時は、38.8度だった。 それから「タオルを新しいのに変えて欲しい」と言われる度に替えているのだが、一向に下がる気配はない。
一昨日からずっと祖母は、高熱のままだ。「人間の病気って、どうしたら治るんだろうか。俺は中途半端だから……」 力なさげに呟き、真っ赤にした目を擦りながら俯く。
助ける術がわからず、力になれないことが歯痒く辛い。
——人間じゃない。
そう、ユキは吸血鬼の父と人間の母の間に生まれたハーフだった。
自分に解決出来ない場面に当たると、吸血鬼にも人間にもなりきれない中途半端な生き物だということを思い知る。
そして、その度に自分の存在意義がわからずに落ち込んでいた。
……——そう、今のように。
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