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雪を融かす一匙の蜜(2)
走って家に帰る道すがらも、さっきの出来事を思い出してムカついていた。
親切な人で素晴らしい精気の持ち主だと思っていたから、なおさら樹の言動はショックだった。
プリプリと怒りながら玄関をガラッと開ける。
すると、奥から「ユキ?」と祖母の声がしたのと同時に、当初の目的を思い出した。
ーーあ、やば。くすり……。
祖母の為に薬を買いに出かけたのに、手ぶらで戻って来たことに落胆する。
しかし、今から再びドラッグストアに行くために外へ出るのは躊躇われた。
また、途中で貧血を起こしてしまったら大変なことになる。 偶然に助けてもらえるなんて、奇跡なのだから。
ーーそうだ、確か……。
天気予報で明日は雨だと聞いていたことを思い出す。
それなら、今から行くより明日行った方が、貧血で倒れるリスクも減るはず。
名案が浮かびニヤニヤしていると、奥から「タオル変えて欲しい」という祖母の声が聞こえた。急いで熱くなったタオルを替え、洗面器の水を替えに洗面所へ向かう。
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