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「お前が来てから8年。私は間違ったことを言ったことがあるかい? ないだろう。全部、お前の為に言っていることなんだ。お利口だから、ママの言うことを聞きなさい」
そう言って、ママは優しいいつもの笑顔に戻ると僕の頭を温かいふわふわの手で撫でてくれた。
僕とママは、お化けの親子だ。
お化けが人の世界にいるためには、人の食べ物を毎日一口食べなくてはいけない。
そうでないと、違う世界に行ってしまうし、ママと離れ離れになってしまうらしい。
一人ぼっちになるのは怖いから、僕はずっとママの傍に居て、言うことを聞いていた。
「まだまだ皆と遊びたいだろ?」
お化けは、僕たち以外にもいっぱいいる。
それに、遊んでくれるのはお化けじゃない、鬼のお兄ちゃんみたいに大きくて強くてカッコいい友達もいっぱいいる。
「うん、遊びたい!」
毎日遊ぶのは飽きない。
もっともっと、僕は遊んでいたい。
「だろぉ? なら、ママの言うこと聞けるね」
ママは嬉しそうに微笑むと、また僕の頭を撫でた。
「……」
でも、僕は納得がいかなかった。
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