精神年齢

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精神年齢

病院帰りの車内にて。 母は運転、私は車酔いでダウン…ここで急に変な行動をするのが姉である。 「くまのこみていたかくれんぼ~♪」 なんか、聞いたことあるメロディきたな。 姉は私の隣で、純粋な幼稚園児のような表情でにかにかしながら歌い始めた。 「いいないいな~♪…ふぅ。」 「歌詞忘れたんだね、わかります。」 歌詞を忘れるといつもため息で誤魔化す。 姉は遠くを見つめつつ、真面目な表情でこう言った。 「私の精神年齢さ、きっとピチピチだよね。」 「そうだろうね。 その年齢で嬉々としてその歌を歌うのは姉くらいだよ。」 姉を呆れた表情で見つつ、車酔いとの戦いを継続する。 頼むから静かに寝かせてくれ。 「精神年齢が肉体に反映されたらいいのにね。」 「そしたら姉は一生幼稚園児のままだね。」 姉は少しむくれたような表情をした。 ゆっくり休みたいときに休めないのも姉クオリティだ。 「精神年齢が肉体に反映されたら、お母さんだって若いままだよ?」 ふむ、上手くいけば老いによる死は回避できるな。 と流されかけたが、私は思った。 「他の同年代の子達が普通に大きくなって卒園してくのに、自分だけいつまでも幼稚園卒園できないの耐えられる?」 私も幼い方だから、卒園できない可能性もある。 姉と話すのは暇しなくて良いが、いつまでも一緒に幼稚園で止まってるのは嫌だ。 「20歳越えたら精神年齢反映されるので良くない?」 私は提案した。 姉はおー。と気のない返事をした。 どうでもよくなってきたんだな。 私は若干イライラしつつ、眠ることにした。
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