ファーストレディー

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ファーストレディー

 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との間で親書が交わされ、世界の注目を集めたが、その際、こっそりとそれに伴って、メラニア夫人と李雪主夫人と間でも裏親書が交換されていた。 「敬愛なる李雪主令夫人へ  あなたの温かな愛情が、金委員長と貴国を守っていらっしゃることは、よく存じ上げております。  ご安心ください。夫には、決して貴国への戦争を始めさせません。  シンガポールでの会談の後、機嫌の悪かった夫は、貴国に対して武力攻撃することを、決意していました。  それを知ったわたしは、 『戦争は絶対にダメです。戦争をするなら、わたしはホワイトハウスから出ていきます』 と夫に、『戦争』か『離婚』かの二者択一を迫りました。  夫は、戦争よりも離婚の方が難しい選択だったようです。おかげで両国の平和が保たれました。  わたしが、もし夫と離婚すれば、暴露本を書くことになるでしょう。そこで彼の女性遍歴を明かせば、彼は大統領の再選をあきらめるどころか、外に出れなくなると思います。今では、『戦争を始めなくよかった』と感謝されています。  わたしは、わが国と世界の平和を守るために、陰で夫を支えていこうと思っています。  あなたも、両国の平和と発展のため、ご尽力ください                         メラニア・トランプ 」 「親愛なるメラニア令夫人へ  ご親書ありがとうございました。  あなたが大統領夫人でいらっしゃる限り、わたしたちの家族とこの国が平穏であることがわかり、深く安堵いたしました。  わたしたち家族は、貴国の作戦から身を守るために、長く地下指令室での生活を続けておりました。最近、地上での生活ができるようになったのは、ひとえにあなたのおかげだったのですね、深く御礼申し上げます。  お日様を浴びる生活を取り戻し、夫も体調がよく、気持ちも安定してきたように思います。今回は夫のダイエットも成功できるのではないかと期待しております。  世界から独裁者と見られている夫ですが、実は小心で、いつも怯えて暮らしています。睡眠障害も患っております。  孤独な夫は、誰も信じることができずにいます。心を許せる人間は、妹の与正と妻のわたしだけかと思います。  夫は何か大きな決断をする時には、いつも私たちに意見を求めるのですが、その通りに動いてくれた時には、いつもいい結果になっています。  ただ言うことを聞いてくれないこともありました。以前に親族を粛正した時のことです。わたしたちは大反対したのですが、強硬派の部下たちを抑えきれず、決行してしまいました。あとで、夫がひどく落ち込んでいました。今もそのことは引きずっているように思います。  ですから今後、もし夫が破滅的な行動を取ろうとした場合でも、与正と二人で、何としても止めますので、ご安心ください。  両家族と両国の平和と安泰のため、手を取り合っていきましょう。                               李雪主 」
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