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だったら、会わなければいい・・そう思う。
だが、そうもさせてはくれなかった。
三千子はどんな時にでも会いに来る。怖いくらいに会いに来る。
俺が病気で寝込んでも、間借りしていたアパートに押しかけて来ては看病する。大学でも、大学でも授業が終わるまで待っている。
そんな日々の中、歳月は、あっという間に過ぎ去っていった。
市村三千子は、
記憶に残らない女ではなく、一番忘れ去りたい、記憶から消し去りたい女だった。
そんな俺の中で、一つの考えが浮かんだ。
小さな考えは、日を追う度に、大きくなっていった。
三千子が邪魔だ・・消えてくれればいい、と。
近藤が、三千子を関係を持っただと?
そんなはずはない。絶対にだ。
それは俺が一番よく知っている。
・・俺は、記憶を呼び戻していた。
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