女子高生

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 電車が次の駅に停車すると、俺は男性陣に押されるようにして電車を降ろされた。当然、目的の駅ではない。そして、当然のように三千子も一緒に降りてきた。  その時点で、女子高生は、「えっ」と当惑の声を上げた。「彼女がいたんだ」という顔だ。  どうやら俺が一人客だと思っていたらしい。  女子高生は、電車を降りた時点で、ようやく俺の彼女である三千子の存在に気づいたのだ。  けれど、女子高生もそこで被害を戻すわけにはいかないのだろう。 「あんた、私のお尻を、何度も触ったわよね」 「そんなこと、するわけがないだろ!」そう何度も繰り返した。  周囲の視線を感じた。いつのまにか数人の乗客に取り囲まれている。非難の目は俺に注がれている。  三千子は「中谷くんはそんなことをするはずがないわ」と抗議しているが、声が小さいのか、相手にされていない。  痴漢の冤罪の話は、よく耳にする。認めてしまった方がいい方に流れる、という人も多くいる。認めないと、裁判にまで持ち込まれる。それで有罪になったりしたら大変だ。  無罪になったとしても、長引けば、とんでもないことになる。  その時の俺は学生だ。まだ就職も決まっていない。もしそんな大ごとになれば、一般的なコースから外れてしまう。  認めてしまえば、罰金、被害者との示談。不起訴、と流れも変わる。  しかし、女の子というだけで、そんなことが許されるのか。  俺はイヤだ。
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